飛騨高山、宮川の朝市が立つ城下に代を継ぐ名旅館五軒 — 初秋の三町に匠の木組みを守る宿
宮川の朝市に走りの飛騨りんごが並ぶ頃、江戸の町割りを残す高山の城下へ。昭和九年創業の田邊、越後から移した木組みのあすなろほか、代を継ぐ名旅館五軒を建物と湯を主語に選んだ。
最新の Picks
VIEW ALL →子持ち鮎という名残 — 旅館の秋の膳が、産卵に下る一尾に、なぜ川の名残を託してきたか
白露から寒露へ、産卵のために瀬を下る子持ち鮎を秋の膳に据える宿を辿る随筆。岐阜・馬瀬川の丸八旅館と富山・庄川の人肌の宿 川金を引き、簗と網、炭火と甘露煮に託された川の名残を読む。
蹲踞という作法 — 離れの露地に据えられた一つの手水鉢が、なぜ客の身と心を鎮めてきたか
初秋の露地に低く据えられた一つの手水鉢。蹲踞という設えが、離れという独立した棟へ向かう客の身と心をいかに鎮めてきたかを、京都・炭屋旅館、箱根湯本・離れ 山家荘、箱根強羅・強羅花壇の露地を辿りながら、石と水を主語に読み解く一本。
違い棚という余白 — 旅館の床の間脇に組まれた段違いの棚が、なぜ客室の格を静かに語ってきたか
床の間の脇に二枚の棚板を段違いに架ける違い棚。間口一間、棚雛形四十八種という定型を持つこの座敷飾りが、なぜ無言のうちに客室の格を語ってきたかを、書院造から数寄屋への継承として辿る随筆。
簾戸を襖へ戻す日 — 離れの座敷が、なぜ秋の初めに建具をそっくり入れ替えてきたか
建具替えは年に二度。六月に簾戸へ替え、襖と障子へ戻すのは秋分から十月朔日にかけて。蔵に納める枚数、風を通す理屈、そして戻ったあとの音と光の変わり方を、離れの三軒とともに辿ります。
但馬香住、九月一日に上がる紅ずわいを膳へ据える宿五軒 — 白露の日本海に走りの蟹を待つ
蟹は冬のものという常識の外側に、初秋の膳がある。九月一日に解禁される香住漁港の紅ずわい――香住ガニを献立の芯に据える但馬・香住区の宿五軒を、公式の記載にあたって選んだ。
因幡岩井、蒲生川の谷に山陰最古と伝わる湯を継ぐ木造三階の一軒 — 白露の湯町に百五十年の畳を守る宿の記
白露の岩井温泉、蒲生川の谷に建つ木造三階の一軒「岩井屋」。松板の下から湧く深い浴槽、総畳敷きの館、因幡の膳。創業百五十年・十三室の宿を一軒だけ掘り下げる。
秋分の播磨灘へ、播州赤穂・御崎の客室露天三軒 — 塩の里に湧く塩化物泉
兵庫県赤穂市御崎。塩を焼いた浜の先、播磨灘へ突き出す岬に建つ宿のうち、客室に露天を掲げる三軒を選んだ。湯が温泉か否かまで、公式表記に沿って書き分ける。
美濃郡上八幡、三十夜の踊りを見送る城下町の一軒 — 処暑の水の町に代を継ぐ、明治創業の料理旅館
二〇二六年の郡上おどりは七月十一日から九月五日までの三十夜。江戸期の藩校跡に建ち、木造の造作と用水の作法を今に残す柳町の料理旅館・備前屋を、処暑の城下町から一軒だけ記す。
肥前古湯、嘉瀬川の谷に砂の底から湯の湧く一軒 — 秋分のぬる湯に、鶴が伝えた泉を守る宿の記
佐賀・古湯温泉の九室の宿「鶴霊泉」。浴槽の底に敷いた砂の中から源泉が湧く天然砂湯を守る一軒を、秋分のぬる湯とともに訪ねる。徐福の伝承、斎藤茂吉の歌碑、源泉で湯引きする鯉の洗い。